偶然を味方にする
先日たまたまYouTubeに小説家の小川洋子さんの講演(「人生に、文学を」プロジェクト)がアップされていたので観ているととても興味深いことを述べられていた。
それは小川さんの著書「ことり」が生まれた背景は偶然だったというのだ。
その後、同じシリーズのビデオのライブラリを見てみると多方面でご活躍されている神戸女学院大学名誉教授の内田樹さんのビデオもアップされていた。内田さんも同じく偶然について言及されている。
どちらの講演にも共通する話題は偶然と心理学者の(故)河合隼雄先生というところが面白いのだが、偶然について
小川さんは
「偶然の力無しには小説は書けません。必要なのは才能なんかじゃなくて偶然。」
「さらにもう1つ付け加えるなら、偶然が降った時にそこからどれだけ跳躍できるかですね。」
と述べられている。
また、内田さんは河合隼雄先生と多田宏先生(合気道の先生)の話の中で、
「人間の身に起こることってのは、ほとんど偶然ですよ。」
「そんな都合のいい偶然(多田先生のお話で、こういう人と出会えたらいいなぁと思うと、パッっと出てくる)なんてあるわけないじゃないかとおっしゃるけども、ありますよ。」
とも述べられている。その他、村上春樹の話も含め偶然について非常に興味をそそられる話をこのビデオから知ることができる。
小川さんと内田さんのいう偶然の内容は若干違うのだが、偶然が必要になってくることは共通している(多田先生に起こる偶然には修行が必要だが)。
そうすると、私たちの周りに偶然を起こしやすく、偶然を発見しやすくすればいいのかもしれない。
では、どうするればよいのか。私たちでもできるのか。その方法は。
スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が唱えた考え方で「計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」というものがある。これは個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定されるというもので、以下の5つの行動指針を提唱している。
好奇心(Curiosity): たえず新しい学習の機会を模索し続けること
持続性(Persistence): 失敗に屈せず、努力し続けること
柔軟性(Flexibility): 新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること
楽観性(Optimism): こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること
冒険心(Risk Taking): 結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと
– 計画的偶発性理論とは…キャリアについての考え方をわかりやすく! [キャリアプラン] All About(https://allabout.co.jp/gm/gc/441716/)
この行動指針がもちろん全てではないだろうが、常に心がけて行動しているのとそうでないのとでは結果は随分変わってくるかもしれない。
最後に。
偶然が起こってもそれに気付かなければ意味がない。そして起こった偶然と何かを繋げる、偶然に対して何かアクションを起こさなければことは頭の中だけで完結してしまう。
偶然を引き寄せ、その偶然に気付き、そこでどうアクションをとるか。何かふわふわした内容だが、やってみる価値はあるのではないだろうか。
偶然(Chance)を味方にしてチャンス(Chance)をつかむために。